「置いてあるだけ」の防災倉庫と、「使われない」シェルター
多くの事業所や自治会には防災倉庫があります。ただ、その多くはスチール製の物置型で、備蓄品を入れておく箱です。強い風で転倒・飛散する、火災で中身が焼ける、浸水で流される、といった被害を受けると、いちばん必要なときに備蓄品が使えません。
一方、シェルターは「いつ来るか分からない災害のためだけの設備」になりがちで、場所と費用の説明がつきにくいという悩みがあります。
この2つを1つにまとめ、平常時は倉庫として毎日使い、非常時は人が逃げ込める場所になるようにするのが、防災倉庫を兼ねるシェルターです。日常的に出入りするため、扉や換気の不具合にも気づきやすく、「いざというとき使えない」リスクも下がります。
物置型の防災倉庫との違い
| 物置型の防災倉庫 | シェルター兼用型(鉄筋コンクリート造) | |
|---|---|---|
| 主な用途 | 備蓄品の保管 | 備蓄品の保管+人の一時避難 |
| 構造 | スチールパネルなど | 工場製PCコンクリートボックスを基礎に固定 |
| 強風・飛来物 | 転倒・変形のおそれ | 重量と基礎への固定で耐える |
| 火災 | 熱で内部が被害を受けやすい | 鉄筋コンクリート造で火災に強い |
| 浸水 | 流失・浸水のおそれ | 基礎に固定。防水扉・水密扉で浸水を抑える |
| 設置 | 据え置き。手続きは規模による | 基礎工事と据付。建築確認申請に対応 |
| 費用 | 安価 | 物置型より高い。規模・基礎・設備で変動 |
費用は物置型より高くなります。その代わり、「保管している物が災害後に使える」「人が逃げ込める」という2つの機能が加わります。
災害別に必要な性能
竜巻・台風
竜巻は発生から到達までの時間が短く、屋外にいる人は頑丈な建物に逃げ込むしかありません。必要なのは、飛来物が当たっても壊れない壁と扉、風で動かない重量と基礎です。当社のレスキューブGタイプ(竜巻・台風)は、重量基礎と防水扉で強風・飛来物・浸水に耐える標準モデルで、企業や施設の一次避難所を想定しています。
火災
延焼や津波火災に対しては、本体が燃えないことと、扉・開口部から熱や煙が入りにくいことが条件です。鉄筋コンクリート造の本体は火災に強く、津波・火山向けのRタイプでは耐熱扉と超耐熱ジョイントを備えます。
地震
地震では、倉庫そのものが倒壊・転倒しないこと、発災直後に備蓄品を取り出せることが重要です。Bタイプ(地震・火災)は土間基礎と防撃扉を備えた規格モデルで、備蓄品や貴重品を守る防災倉庫として設計しています。
| タイプ | 想定災害 | 函体 | 基礎・建具 | 位置づけ |
|---|---|---|---|---|
| R | 津波・火山 | 3〜5本(前室あり) | 杭基礎/水密扉・耐熱扉 | 避難シェルター(最上位) |
| G | 竜巻・台風 | 2〜3本 | 重量基礎/防水扉 | 避難シェルター(標準) |
| B | 地震・火災 | 1〜2本 | 土間基礎/防撃扉 | 防災倉庫(規格) |
向いている導入先
- 工場・物流拠点・屋外作業場:従業員の一次避難所と、重要物品・備蓄品の保管庫を兼ねる。発災後は物資の配送・保管の拠点にもなります
- 自治会・公園:小規模な用地にも設置でき、地域の備蓄拠点と避難拠点を兼ねる
- 病院・高齢者施設:段差のない入口やストレッチャー対応など、施設に合わせた設計が可能
- 消防・警察:避難誘導や救助にあたる隊員の最終退避所
- 戸建住宅:庭やガレージ横に置く、家族のためのシェルター兼防災倉庫

導入前に確認すること
- 想定する災害:竜巻・台風、火災、地震、津波・浸水のどれを優先するか
- 保管する物と量:備蓄品、発電機、燃料、書類、機器。必要な棚と床面積
- 避難する人数と時間:数十分の退避か、数日の待機か。換気・照明・電源の要否
- 設置場所:人がすぐ駆け込める位置か。大型車両の寄り付き、架空線、地盤
- 手続き:建築確認申請。既存建物との関係(敷地内の配置、建ぺい率など)
- 維持管理:扉・換気・電源の点検と、備蓄品の更新の担当
工期と進め方
工場でのユニット製作は最短3週間、現場での据付はクレーン1台とバックホー1台で約3日が目安です。別途、建築確認申請と基礎工事の期間が必要です。規格品のボックスを使うため設計コストを抑えられ、地元の設計事務所・建設会社と連携して施工できます。
費用は、ユニット数、基礎の形式、オプション設備で変わるため、現地調査のうえ個別にお見積りします。
- 本記事のシェルターの仕様は、合同会社レスキューブの避難シェルター「レスキューブ」(特許第5637414号、実用新案第3193067号、商標登録「レスキューブ」)にもとづきます。
- 物置型の防災倉庫の性能は製品により異なります。上表は一般的な傾向を示したものです。